精液に血が混じる/血が混じった

精液が赤い(精液に血が混じる)

精液に血液が混ざって赤くなった状態を血精液症と呼びます。
出血から時間が経過すると茶色っぽい色になったり、血液の塊が混入したりする場合もあります。前立腺や精嚢での出血が原因となっていることが多いです。

精液が赤い原因

精液が赤い原因精液が赤い場合、前立腺がん・膀胱がん・精巣がんなどの悪性腫瘍が原因として考えられます。膀胱鏡検査や前立腺生検の後に精液が赤くなる場合もありますが、精液を貯蔵する器官である精嚢の炎症によって赤くなる場合もあります。精嚢で炎症が生じると、出血が起こりますが、排尿痛や腹痛は伴いません。精嚢の中に血液が蓄積するため、血精液症が一度発生するとしばらくは症状が持続します。血液の色は、新鮮な赤色から時間の経過とともに茶色へと変化し、徐々に症状は改善していきます。血精液症は、画像検査を行っても原因が特定できないことが多いですが、特に高齢男性の場合、前立腺がんの可能性を排除することが重要です。

精液の色・状態から疑われる疾患

黄色

生まれつき精液が黄色く濁りやすい方もいるため、体質が原因であれば特に心配はいりません。体質以外の原因で精液が黄色く濁る場合は、性感染症や膿精液症などが考えられます。
膿精液症は、精嚢に細菌が入り込んで精液に膿が混じる状態です。自然に改善することも多いですが、精嚢の機能が低下して不妊に繋がる場合もあります。
また、クラミジア感染症や淋病などの性感染症によって起こる場合もあります。性行為後、急に精液が黄色っぽくなった場合は、性感染症が原因であることも考慮する必要があります。その他、前立腺の炎症が原因で精液が黄色くなる場合もあります。

赤色~茶色

血精液症の可能性があります。
出血からあまり時間が経っていない場合はピンク色や赤色、時間が経過すると黒っぽいもしくは茶色の色調を呈しますが、痛みを伴うことは稀です。
基礎疾患や年齢、お薬の服用により、血液の凝固能低下や血管が脆弱になっている場合、射精時に精嚢の血管から出血することがあります。
稀に起こる程度であれば過度に心配する必要はありませんが、症状が長引く場合は、前立腺がんの局所進行によって起こっていることも考慮し、当院までご相談ください。

透明(乳白色)

通常の精液は乳白色ですが、精子の数が減ると透明に近い色になります。
世界保健機関(WHO)は、通常の精子濃度の下限値を1mlあたり1,600万匹としており、この数値より少ない状態を「乏精子症」、精子が全くない状態を「無精子症」と定義しています。
精子の運動率も重要な要素ですが、精子の数が正常値を下回っている場合、男性不妊に繋がる可能性があります。当院までご相談ください。

水っぽい

精液が水っぽくなる原因は様々です。精子濃度の低下、射精回数の多さ、亜鉛不足、早漏などの要因が関係している可能性があります。
精子濃度の低下は、精子形成機能の異常や精子輸送経路のトラブルによって生じます。射精回数が多い場合も、精液が希釈され水っぽくなることがあります。一般的に、射精回数は20〜30代で1〜2日に1回ほど、40代で週1回、50代で月1回ほどが望ましいとされています。
また、亜鉛不足は男性ホルモンの分泌減少や精子濃度の低下に繋がり、精液が水っぽくなることがあります。
早漏は、性的興奮が頂点に達する前に射精してしまう現象であり、精液の状態に影響を及ぼすことがあります。

精液が赤い場合の検査・診断

超音波精液が赤い場合、尿検査や超音波検査を行います。
尿検査では、尿中に血液が混入していないかを確認します。超音波検査では、膀胱・精嚢・前立腺などの異常の有無を調べます。
これらの検査で異常が認められた場合は、CTやMRIなどの画像検査によってより詳細な評価を行います。
中高年以上の方に対しては、PSAと呼ばれる腫瘍マーカーの血液検査を行い、前立腺がんのリスクを評価します。

精液が赤い場合の治療

診療風景原因が特定できた場合は、その原因に応じた治療を行います。
精嚢や前立腺に炎症が認められる場合は、抗菌薬を用いた治療が有効です。
また、出血が続く場合は、止血剤の使用が検討される場合があります。

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