蕁麻疹は皮膚疾患の一種で、蚊に刺されたような赤いできものが急激かつ一時的に皮膚に生じ、跡が残らずに消えていくのが特徴です。
激しいかゆみや赤みが起こりますが、ほとんどは数十分〜1日もすれば自然治癒します。また、ヒリヒリ・チクチクする痛みや、赤みが生じずに、唇や瞼の腫れ、飲み込みづらさ、のど詰まり、呼吸困難といった症状が起こる方もいらっしゃいます。
症状が一度しか出ない方、数日で自然治癒する方、何週間にもわたって症状が繰り返し起こる方など、症状の現れ方は人それぞれです。
特に、6週間以上症状が収まらない場合は慢性蕁麻疹とされ、人によっては数年間症状が続くこともあります。
原因
食物アレルギー、発汗、物理的な刺激などによって発症するものもあれば、明確な原因は不明なものもあります。
はっきりと原因が分かるケースは全体の10〜30%程度で、ほとんどは原因不明です。
成人は寝不足、仕事などのストレス、子どもは風邪や学校などでのストレスが原因・誘因となることがあります。
じんましんの原因・誘因の例
食物
野菜・穀類(小麦、大豆、蕎麦など)、乳製品・卵(牛乳、チーズ、鶏卵など)、肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)、魚介類(エビ、サバ、カニなど)
食品添加物
防腐剤(パラベンなど)、人工色素
物理的な刺激
日光、寒冷・温熱刺激、下着などによる圧迫・摩擦、こすれなど
植物・昆虫
ゴム、イラクサ、ハチ などに刺される・触れる
薬剤
非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリンなど)、抗生物質、咳止めなど
その他
- ウイルス性肝炎、甲状腺疾患、膠原病などの全身・内臓疾患
- 発汗や運動(特定の食品や体質などと複合することが原因)
- 心身のストレス・疲労
アナフィラキシー
原因物質が体内に侵入してから間もなく、血圧低下、喘息、蕁麻疹といった全身症状やアレルギー症状が現れることをアナフィラキシーと呼びます。こうした症状が起こった際には、速やかに救急車を呼んでください。
種類
急性蕁麻疹
連日症状が起こるタイプの中で、発症から6週間以内のものが該当します。
ウイルスや細菌への感染がきっかけとなるケースがほとんどです。
慢性蕁麻疹
連日症状が起こるタイプの中で、発症から6週間を過ぎたものが該当します。ほとんどが原因不明です。
アレルギー性蕁麻疹
薬剤、食物、昆虫などのアレルゲンが原因となるタイプです。IgEという血清蛋白がアレルゲンと結びつくことが影響します。
コリン性蕁麻疹
運動や入浴で発汗すると発現するタイプです。膨疹のサイズは約1〜4mmと微細で、子ども〜若年層での発症が目立ちます。
物理性蕁麻疹
圧迫、振動、機械的擦過、温熱、寒冷、日光などの物理的刺激が原因となります。
血管性浮腫(クインケ浮腫)
瞼や唇が急激に腫れますが、2〜3日もすれば腫れは引きます。かゆみは伴いません。
血管性浮腫などの遺伝的な要因で発症するケースも稀にあります。
治療
抗アレルギー薬を服用します。急性蕁麻疹は数日もすれば自然治癒しますが、慢性蕁麻疹の場合は回復までに長時間かかることもあります。原因が分かっているケースではその原因を取り除くことが重要です。
その他の注意点
皮疹の部位を掻きむしらずに冷却することで、症状が多少和らぐことがあります。
体温が上がると症状が再燃しますので、入浴は適温のシャワーに留めると良いでしょう。
就寝時も発汗しないように寝具や室温を管理するようにしましょう。