単純ヘルペスウイルスが皮膚や粘膜へ感染することで発症します。
ヘルペスは性感染症の一種で、性行為やキスといった直接接触はもちろん、ウイルスが付着したコップやタオルの共有などの関節接触でも感染が起こる恐れがあります。
そのため、成人はもちろん、子どもや乳幼児が発症するケースもあります。
ヘルペスは、発症部位に応じて、性器ヘルペスや口唇ヘルペスに分けられます。
現在はお薬で完治させることは難しいため、ヘルペスについて適切に理解することで再発予防を行います。
口唇ヘルペス
単純ヘルペスウイルスへの感染によって発症します。
原因
唇や唇周辺の皮膚にヘルペスウイルスが付着して、粘膜に感染することで発症します。キスなどの直接接触はもちろん、コップやタオルの共有でも感染しますので、家族内感染が起こりやすいため注意が必要です。ヘルペスの症状が一度改善しても、疲労やストレスの蓄積によって免疫力が弱まることで再発する恐れがあります。
症状
唇や唇周辺の水ぶくれがよくある症状です。アトピー性皮膚炎の患者様は、患部を掻きむしると感染が拡大する恐れがありますので注意が必要です。
- チクチク・ピリピリした痛み
- ほてり、かゆみ
- 唇や唇周辺の水ぶくれ
- 掻きむしることによる感染拡大
- 耳や顎の近くのリンパ節の腫れ(初めての感染の場合)
- ムズムズする感覚
- 水ぶくれの後にできるかさぶた
治療
抗ウイルス効果があるファムシクロビル、アシクロビル、バラシクロビルなどの内服薬を5日間服用して頂きます。ヘルペスの症状に気づいたらなるべく早めに服用をスタートすることをお勧めします。
抗ウイルス薬はウイルスの繁殖防止効果がありますので、発症してしばらく経った後のかさぶた状態ではあまり効果がありません。
再発した場合はお薬の効果を最大化するために、炎症が起きていなくてもヒリヒリ・ムズムズといった違和感を覚えたタイミングで、医療機関を受診し、服用を開始してウイルスの繁殖と炎症拡大を抑制するようにしましょう。
性器ヘルペス
原因
陰部の粘膜にヘルペスウイルスが接触・感染することが原因となります。
症状
女性
女性の方が男性よりも重症化しやすく、発熱や激痛によって歩行困難・排尿困難になることがあります。
- 高熱
- 足の付け根(鼠径部)のリンパ節の圧痛・腫れ
- 陰部に生じた潰瘍による痛み
- 陰部に生じた水疱によるかゆみ
- 激しい排尿痛
治療を行わなくても、2〜3週間程度で症状は解消されますが、一回でも感染するとウイルスを100%取り除くことはできないため、免疫力が弱まった際に再発する恐れがあります。
男性
アナルセックスによって直腸粘膜や肛門周辺に症状が現れます。
- 高熱
- 足の付け根(鼠径部)のリンパ節の圧痛・腫れ
- 陰部に生じた潰瘍による痛み
- 陰部に生じた水疱によるかゆみ
- 激しい排尿痛
- 尿道分泌物が少し出てくる
治療を行わなくても、2〜3週間程度で症状は解消されますが、一回でも感染するとウイルスを100%取り除くことはできないため、免疫力が弱まった際に再発する恐れがあります。
治療
ファムシクロビル、バラシクロビルなど、抗ウイルス効果がある内服薬を服用します。
再発抑制療法
年に6回以上再発している方は、保険適用で再発抑制療法を受けて頂けます。抗ウイルス効果がある内服薬を1日1回服用して頂き、無症状でも継続して服用することで再発リスクが低減されます。
最近はPIT療法という症状出現時にすぐに内服する療法もあり、予防として処方しております。