血尿

尿潜血陽性(血尿)と指摘された方へ

 

血尿イメージ健康診断などの尿検査で尿潜血陽性と指摘された場合、尿中に目に見えないほどの少量の血液が混入している状態を示します。血尿には、肉眼で確認できるものと、顕微鏡でのみ確認できる血尿があります。尿が生成される腎臓、尿の通路である尿管・膀胱・尿道などの病気が原因となるケースも少なくありません。尿潜血陽性は年齢を重ねるにつれて起こりやすくなり、男性よりも女性に多く見られます。
一方、肉眼で血液の混入が確認できる血尿である肉眼的血尿がある場合、より深刻な疾患が起こっているリスクが高いとされます。特に、膀胱がんの多くは痛みが無い肉眼的血尿をきっかけに発見されることが多いです。

尿潜血陽性とは

尿検査では、採取した尿に尿試験紙(定性試験)を浸し、尿中に血液の成分である赤血球が含まれているかどうかを調べます。赤血球が存在すると試験紙の色が変わります。この検査は少量の血液でも検出可能で、血尿の程度を−、±、+、++、+++の5段階に分類し、+以上の結果が出た場合を尿潜血陽性と判定します。この検査は簡便に行えるため、一次検査として広く実施されています。

尿潜血(血尿)が起こる疾患

血尿は、尿を生成する腎臓、尿が通過する尿管・膀胱・尿道などの泌尿器系の疾患によって起こりやすく、女性の場合は婦人科系の病気によって起こる場合もあります。体質的に尿潜血陽性を示しやすい場合や、尿道の出口付近の粘膜が損傷して血液が混入することもあり、その場合は陽性であってもそれほど心配する必要はありません。しかし、膀胱がんや腎臓病などの深刻な疾患が潜んでいる恐れもあるため、尿検査で尿潜血陽性と判明した場合は、原因疾患の有無を確認することが重要です。

肉眼で分かる明らかな血尿「赤い尿」:肉眼的血尿

肉眼的血尿は肉眼で明らかな赤みが認められる状態であり、その色調は淡い赤色から鮮やかな赤色まで様々です。
肉眼的血尿が一度でも現れた場合は、深刻な病気が潜んでいる恐れがあります。たとえ一度だけで、その後症状が見られなくても、なるべく早めに当院までご相談ください。膀胱がんの場合、一度だけ明らかな肉眼的血尿が現れ、その後は特に症状を示さないまま進行することがあります。肉眼的血尿を引き起こす病気は多岐にわたり、一過性のものと思われても深刻な疾患が潜んでいることがよくあるため、お気を付けください。

尿検査で見つかる少量の血液「目視で確認できない血尿」:顕微鏡的血尿

顕微鏡的血尿は、肉眼では気付かないものの、尿検査によって少量の血液が検出される血尿のことです。健康診断などで実施される尿検査では、尿試験紙を用いる簡便な検査が行われています。
健康診断の尿検査で尿潜血陽性や「+」「2+」などの結果が出た場合は、疾患の有無を確認することが大切です。顕微鏡的血尿は、肉眼的血尿と比較して、多岐にわたる疾患の早期発見に役立つことが多いです。顕微鏡的血尿によって早期発見が期待できる病気としては、腎臓の糸球体異常、尿路結石、前立腺がん、膀胱がん、腎がんなどが挙げられます。

血尿の治療

問診で血尿の状態や発生回数、その他の症状について確認します。採取した尿を分析し、尿細胞診を行うとともに、疑わしい疾患に応じて超音波検査や血液検査を実施する場合もあります。特に、肉眼的血尿が認められる場合は、膀胱がんなどの可能性も考慮して尿細胞診は必須となります。
細菌感染による炎症が血尿の原因である場合は、抗生物質による治療が有効です。尿路結石の場合は、疼痛などの症状を軽減する対症療法を行うとともに、結石のサイズを調べ、破砕治療の必要性や自然排出の可能性を検討します。その他の疾患についても、程度や状態を慎重に評価した上で必要な検査を行い、適切な診断と治療を行います。

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